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「東長」か「窓乃梅」か

山口良平さんから荷物が届く。なんと「山口瞳アルバム」で、吃驚する。最初の写真が昭和17年の山口ファミリーが麻布の家の前で勢ぞろいで撮ったもの。『血族』の箱に使われたものだが、後で聞いてみると、山口家ではこの写真は戦災で焼失したので、良平さんのこの写真が使われたという。良平さんが一人一人の名前を記してくれているので、不明だった人が判明した。弟の昭さんは半分しか写ってない。次が母静子さん一人だけの写真。戦後のものだろうが、その美しさにハッとする。続いて妹栄さんとジェリー伊藤さんの結婚式のもの。山口瞳が『血族』で自分の家族は美人ぞろいと書いたのもむべなるかなと得心した。山口瞳からのハガキ、頑亭先生からの封書も最後にいれてある。こんな貴重なもの貸していただき大感激だ。他に「東長」という地酒も入っていた。これも『迷惑旅行』に登場したお酒で「素直な村娘が、そのまま成長して、自然に仇っぽくなっている」と山口瞳が評したお酒である。以前にやはり佐賀の会員の方から送っていただき感激しながら飲み、その美味しさが頭にしっかり残っているから、申し訳ないという思いを、ヤッタ〜ァという思いが上回ってしまう。これだから酒飲みは意地汚いといわれるんだ。反省。良平さんにお礼の電話をいれる。良平さんは「それがですよ、瞳さんはあまり『東長』は好きじゃなかとですよ。『窓乃梅』(これも佐賀の地酒)なら1斗でも2斗でも送ってくれ、といわっしゃるですもンね」という(佐賀弁は不正確)。良平さんは地元の「東長」をこよなく愛しているので、山口瞳のこの反応が大いに不満のようだ。こういうナショナリズムは大好きだ。と思いつつ、この「窓乃梅」はどんな酒なのだろうと興味津々になってしまう。バカタレ。

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